注目企業情報

クックパッド

COOKPAD

概要 SUMMARY

クックパッドは、日本最大規模のレシピコミュニティサイト「クックパッド」を運営する企業である。
慶應義塾大学環境情報学部を卒業した佐野陽光が、1997年に神奈川県藤沢市に設立した有限会社コインがその前身である。
佐野は父親の仕事の関係で少年時代を海外で過ごし、不規則な食生活や生活習慣を余儀なくされ、その結果食事や料理が家族を幸せにする、という思いを抱くようになり、それが「クックパッド」というサービスに結実した、と言われている。

2004年に株式会社に組織変更し、同時に社名もクックパッド株式会社と変更。
2009年には東証マザーズに上場し、2011年に東証一部に市場変更をした。
また2012年には、日経産業新聞、日本経済新聞、日経リサーチが共同で企業の競争力をランク付けした「NEXT50 上場中堅企業ランキング」において1位に選出、「20代から30代の女性世代の半数以上が利用する人気サイト」でも、母親の使うネットサービス部門第1位に選出されるなど、近年成長の著しい企業の一つである。

Webサイト「クックパッド」は1998年に開設された(開設時の名称は「kitchen@coin」)。
当時としては珍しく、料理レシピの投稿、検索に特化したサイトであり、ユーザーからは高い支持を得ていたが、開設時はユーザーからの課金モデルを採用しており、経営的には決して楽ではない状況が続いていた。
それでも徐々に投稿レシピ数と月間ユニークユーザー数を拡大。さらに後に執行役となる小竹貴子ら強力なメンバーの加入や、メインの収入源を課金から広告に切り替えたこと、技術にも強い佐野の運営方針や施策(徹底したユーザー志向、自社開発の検索エンジンや料理データベースの導入、アクセスピーク時のレスポンスタイムの縮減、UI(ユーザーインターフェイス)への強いこだわり、携帯・スマホ・タブレットへのスピーディーな対応等々)が功を奏して基盤を安定させ、経営状態も右肩上がりとなる。
今では20~30代女性の8~9割が利用し、月間利用者数2,000万人以上(2013年時点)、掲載レシピ数163万品以上、月額280円で登録できる有料のプレミアム会員数も120万人以上、スマートフォンアプリのダウンロード数も1,400万回以上(2013年時点)という、日本でも有数の巨大サービスへと成長し、その勢いはいまも衰える気配がない。

現在のクックパッドはサイトの拡大、充実を図りながら、「食のインフラを目指す」というテーマに挑み、食にまつわる多彩なサービスを展開する第2フェーズに入っている。
実際に新規事業、サービスへの取り組みや、他企業とのコラボなどが下記のように非常に活発化している。

  • 農家と提携して、野菜を宅配する「やさい便」
  • クックパッドが料理教室を認定し、それらを検索して教室に参加もできる「クックパッド料理教室」
  • 「クックパッド」利用者のためのコミュニティサイト「みんなのカフェ」
  • 漢方と薬膳のポータルサイト「漢方デスク」
  • 食品製造業・流通業・小売業向けに、「クックパッド」で培ったレシピデータを活用したデータサービス「たべみる」
  • 近所のスーパーの特売情報に合わせたレシピを検索できる機能と、Zaim社の家計簿アプリ「Zaim」を連携させて、特売情報・レシピ・家計簿を一括して利用、管理するサービス
  • 岩下食品、ローソンとコラボし、「岩下の新生姜」を使ったレシピコンテストの受賞メニューを商品化して、ナチュラルローソンで販売
  • ライオンとコラボし、クッキングペーパーを使ったレシピを提案する「ヘルシークッキングプロジェクト」
  • 森永乳業とコラボし、「クリープ」を活用したレシピコンテスト
  • 家庭用品メーカー和平フレイズとコラボして万能フライパンを開発
  • TBSの番組「はなまるマーケット」とコラボし、「我が家のNo.1おかず」をテーマにしたレシピコンテスト
  • 福岡のJa全農ふくれんとコラボし、博多ブランドの農産物を使ったレシピコンテスト
  • Pascoとコラボし、フードコーディネーターSHIORIがイングリッシュマフィンを使ったレシピを「クックパッド」に公開するマフィンキャンペーン
  • 社員食堂の給食事業を手がけるエームサービスとコラボし、クックパッドのレシピを元に開発したメニューを提供する「おいしい家庭料理をオフィスにも届けよう!みんなの社員食堂」企画第一弾を、日本ヒューレット・パッカード社の社員食堂にて実施

上記のうち、クックパッド料理教室は2014年5月8日に本格リリースされたサービスで、これには2013年に子会社化したコーチ・ユナイテッドの運営する「Cyta.jp」のシステム、ノウハウが活かされていると推測できる。
※Cyta.jpは、語学や習い事などの個人コーチが検索・予約できるサービス。
運営元であるコーチ・ユナイテッドは、スマホでベビーシッターやハウスキーピングなどの地域サービスが探せる「サービスEC」を目指しており、利用者層の重なるクックパッドは、運営ノウハウ共有や、スマートフォン利用者へのさらなるサービス提供を目指すとされている。

以上のような新しい取り組み、サービスが続々とリリースされている背景には、個人のやる気と起業家マインドを重視する社風があることはもちろんだが、最近ではそのような社風を制度化して、目に見える形にしていることも大きい。
たとえば「一人一サービス」をテーマに、一人の社員が企画、開発、運営までを行う「新規事業開発室」の開設などもその一環である。
会社が社員個人のアイデア、チャレンジを拾い上げて会社全体の活力にしようとする動きが非常に顕著なのだ。

またクックパッドは、社内の環境や様子などもしばしばメディアに取り上げられ、話題となることが多い。
社員が実際に利用できる大きなキッチンや、社内環境作りを専門に行うWork Placeプロデューサーを起用して、社員に最大限のパフォーマンスを発揮させるための空間作り、社員同士の交流やミーティングにも使えるラウンジ、会議スペース内に設けられた和室、リラックスのためのソファスペースなど、会社の社員に対する配慮を感じさせるユニークな取り組みが、社内の至る所に盛り込まれている。

さらに近年のクックパッドが注力しているのが海外進出である。
2010年の米国子会社設立を皮切りに、現在はシンガポール、スペイン、インドネシアなどにも子会社を置いている。
創業以来同社を牽引してきた佐野は2012年に社長職を退任、取締役兼執行役となり、事業の世界展開に専念している。
「食が家族を幸せにする」という設立当初からの理想を一貫して追い求めてきたクックパッドは、今後も国境に妨げられない「食」という人間の普遍的な価値を旗印に、世界のいたるところでさらなる活動を展開していくに違いない。

社名 クックパッド株式会社(Cookpad)
代表 穐田 誉輝
設立 1997年
所在地 東京都港区白金台5-12-7

理念 CORPORATE PHILOSOPHY

毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす

https://info.cookpad.com/corporateより引用

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沿革 HISTORY

以下に同社の主な沿革を記載する。

  • 1997年

    佐野陽光が有限会社コインを神奈川県藤沢市に設立

  • 1998年

    料理レシピの投稿・検索サイト「kitchen@coin」を開設

  • 2001年

    本社を神奈川県横浜市中区に移転

  • 2002年

    本社を東京都渋谷区代々木に移転

  • 2004年

    会員事業「クックパッドプレミアムサービス」を開始
    有限会社コインからクックパッド株式会社に名称・組織変更

  • 2006年

    モバイル用サイト「モバれぴ」を開始
    本社を東京都港区北青山に移転

  • 2007年

    委員会設置会社に移行

  • 2008年

    本社を東京都港区白金台に移転

  • 2009年

    東京証券取引所マザーズに上場

  • 2010年

    アメリカに子会社 COOKPAD Inc. を設立

  • 2011年

    シンガポールに子会社を設立
    東京証券取引所市場第一部に市場変更
    食材宅配サービス「やさい便」開始

  • 2012年

    創業者の佐野陽光が取締役兼代表執行役社長を退任。後任には元カカクコム社長の穐田誉輝が就任
    スマートフォン向け家計簿サービスを手がけるZaimに出資

  • 2013年

    習い事や資格取得のレッスン、個人指導が検索できるサイト「Cyta.jp」運営元のコーチ・ユナイテッド株式会社を子会社化
    「クックパッド」と家計簿サービス「Zaim」を連携

  • 2014年

    アメリカのレシピサービス運営会社 ALLTHECOOKS, LLC を、米子会社 COOKPAD Inc. を通じて孫会社化
    スペインに子会社を設立
    インドネシアのレシピサービス運営会社 Dapur Masak PTE. LTD. を子会社化
    食品製造業・流通業・小売業向けデータサービス「たべみる」をリニューアルしてサービス開始
    認定料理教室事業「クックパッド料理教室」開始

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サービス SERVICE

ファンクション

料理レシピサイト「クックパッド」の企画・運営

料理教室検索、マッチングサイト「クックパッド料理教室」の企画・運営

  • 食品宅配事業
  • 会員事業
  • 広告事業
  • 食品・食材データサービス


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求める人材 REQUEST

途中採用では対象職種におけるキャリアや専門知識、スキルなどが相応に必要とされている。
それ以外の資質、人間性などの面においては、社内外での円滑なコミュニケーション能力、会社やサービスを成長させたいという強い意欲、課題発見・解決・改善提案などを自ら行っていく主体性、ポジティブな姿勢と強い責任感、などが挙げられる。
特に自発性、主体性は重要視されており、採用においても「起業か、クックパッドか」というメッセージを掲げ、起業家マインドに富む人材が望まれている。

また日本有数のアクセス数を誇るサイトの運営元としては、ネットの向こうにいる大多数のユーザーへの配慮が欠かせないことから、ユーザー目線での思考や、相手の立場に立って考えられる柔軟な姿勢なども求められている。

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キャリアパス CAREER PATH

クックパッドでは、社員の行動評価については360度評価を採用、給与決定の裁量などはマネージャーが担当し、半年に一度の評価を行っている。
エンジニアやデザイナーなど、専門性の高い職種では専門性も評価の対象とされる。

また2013年に設立された「新規事業開発室」は、社員による新サービスの企画、開発を強力に推し進めている。
社員がやりたいと思うことを後押しする社風を「見える化」したものであり、新しいキャリアパスの実現の場として社内外からも注目を集めている。
クックパッドはそもそも役職と給与とが紐づいていないこともあり、描けるキャリアパスは一般に比べてかなり自由度の高いものとなっている。

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トレーニング TRAINING

入社半年以内は、メンター制度により先輩社員が月に一度面談を行うほか、上長とも定期面談において、キャリアや仕事内容などについて相談することができる。
また英語、日本語のライティング、スピーキング成績によって奨励金を支給する語学サポートや、エンジニアやデザイナーのために定期的に開催される社内勉強会のほか、「スパイス」と呼ばれる1時間〜1日程度の他部署業務体験制度など、ユニークな取り組みも多数あり、社員のさまざまな面を伸ばす多様な教育制度が用意されている。